Achievements 実績紹介

弁護士の皆様 法人向け

遺産分割に不動産鑑定評価書を活用

Aさんには、夫がいましたが、子供がいませんでした。Aさんは夫と、3000万円で購入したマンションに住んでいました。マンションの購入資金は、姑に援助してもらっておりました。
姑は、Aさんのことをよく思っておらず、結婚には反対だったのですが、最終的には折れ、マンションの購入資金も援助してくれたのです。しかし結婚後も、Aさんと姑とは相性が合わず、折り合いはよくありませんでした。
そのような中、結婚10年目に夫が倒れ、突然死してしまいました。葬儀が終わって数日後、Aさんのショックも冷めやらないときに、姑はなんと、夫の遺影の前で次のようなことを言い出したのです。

「Aさん、私は確かにこのマンションの購入資金を援助してあげたけど、あれはあなたにではなく、息子に援助してあげたものです。援助してあげた3000万円を返してくれないかしら。お金がないのなら、この部屋を売ってちょうだい。子供もいないし、これからは一人なので、こんなに広い部屋に住まなくても大丈夫でしょ?」

これにはAさんは驚いてしまいました。確かに、70㎡もあるので、一人であればここまで広い部屋に済まなくでも大丈夫です。でも、現金は3000万円もありません。二人で貯めた預金が500万円ある程度です。

しかし、姑の言い分は、間違っております。相続により取得した財産の価額は、そのときの時価となります。マンションの価格は値下がりしており、不動産鑑定評価の結果、今では2000万円となっていました。
そして、子供がいない場合、姑の法定相続分は全財産の3分の1しかありません。このため、マンション2000万円と預金500万円、計2500万円の3分の1である、833万円だけを姑に渡せばよいということで、何とか話がまとまりました。預金が500万円しかなかったので、833万円は生命保険金から渡しました。そしてAさんは引き続き、住み慣れた部屋に居続けることができるようになりました。

Page Top